そしていつかわたくしは町から西南の方

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行くみちへはいってしまっていました。

向うからは黒い着物に白いきれをかぶった百姓のおかみさんたちがたくさん歩いてくるようすなのです。わたくしは気がついて、もう戻ってしまおうと思いま した。全くの起きたままチョッキだけ着て顔もあらわず帽子もかむらず山羊が居るかどうかもわからない広い畑のまんなかへ飛びだして来ているのです。けれど もそのときはもう戻るのも工合が悪くなってしまっていました。向うの人たちがじき顔の見えるところまで来ているのです。わたくしは思い切って勢よく歩いて 行っておじぎをして尋ねました。

「こっちへ山羊が迷って来ていませんでしたでしょうか。」

女の人たちはみんな立ちどまってしまいました。教会へ行くところらしくバイブルも持っていたのです。

「こっちへ山羊が一疋迷って来たんですが、ご覧になりませんでしたでしょうか。」

みんなは顔を見合せました。それから一人が答えました。

「さあ、わたくしどもはまっすぐに来ただけですから。」

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