「あるよ。だってまだこれどこではないんだもの。」
「こんなに方角がわからないとすれば、やっぱり昔の伝説のようにあかしの番号を読んで行かなければならないんだが、ぜんたい、いくらまで数えて行けばポラーノの広場に着くって?」
「五千だよ。」
「五千? ここはいくらと云ったねえ。」
「三千ぐらいだよ。」
「じゃ、北へ行けば数がふえるか西へ行けばふえるか、しらべて見ようか。」
その時でした。
「ハッハッハ。お前たちもポラーノの広場へ行きてえのか。」うしろで大きな声で笑うものがいました。
「何だい、山猫の馬車別当め。」ミーロが云いました。
「三人で這いまわって、あかりの数を数えてるんだな。ハッハッハ。」足のまがった片眼のその爺さんは上着のポケットに手を入れたまま、また高くわらいました。
数えてるさ、そんなら、じいさんは知ってるかい。いまでもポラーノの広場はあるかい。」ファゼーロが訊きました。
「あるさ。あるにはあるけれどもお前らのたずねているような、這いつくばって花の数を数えて行くような、そんなポラーノの広場はねえよ。」
「そんならどんなんがあるんだい。」
「もっといいのがあるよ。」
「どんなんだい。」
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