ファゼーロがそっちへ向いて高く叫びました。向うの声はやみました。 2014年10月29日(水) ファゼーロ • ミーロ 「あるよ。だってまだこれどこではないんだもの。」 「こんなに方角がわからないとすれば、やっぱり昔の伝説のようにあかしの番号を読んで行かなければならないんだが、ぜんたい、いくらまで数えて行けばポラーノの広場に着くって?」 「五千だよ。」 「五千? ここはいくらと云ったねえ。」 「ファゼーロがそっちへ向いて高く叫びました。向うの声はやみました。」の続きを読む
それはまた一つや二つではないようでした。 2014年10月29日(水) アカシヤの木 • ミーロ 消えたりもつれたり、一所になったり、何とも云われないのです。 「まるで昔からのはなしの通りだねえ。わたしはもうわからなくなってしまった。」 「番号はここらもやっぱり二千三百ぐらいだよ。」ファゼーロが月が出て一そう明るくなった、つめくさの灯をしらべて云いました。 「それはまた一つや二つではないようでした。」の続きを読む
ファゼーロもミーロもまっすぐに立ってわたくしを見ています。 2014年10月29日(水) テーモ ミーロはうなずいてあるきだしました。ファゼーロもだまってついて行きました。わたくしどもは、じつにいっぱいに青じろいあかりをつけて、向うの方はまるで不思議な縞(しま)物のやうに幾条にも縞になった野原を、だまってどんどんあるきました。 「ファゼーロもミーロもまっすぐに立ってわたくしを見ています。」の続きを読む
そばでよく見るとまるで小さな蛾の形の青じろいあかりの集りだよ。 2014年10月29日(水) ミーロ • ムラードの森 「そうかねえ、わたしはたった一つのあかしだと思っていた。」 「そら、ね、ごらん、そうだろう、それに番号がついてるんだよ。」 わたしたちはしゃがんで花を見ました。なるほど一つ一つの花にはそう思えばそうというような小さな茶いろの算用数字みたいなものが書いてありました。 「そばでよく見るとまるで小さな蛾の形の青じろいあかりの集りだよ。」の続きを読む
わたくしはこの前のことを思いだしながら、そっとたずねました。 2014年10月29日(水) ガラス函のちょうちん • テーモ 「居ない。」ファゼーロはかなしそうに云いました。 「この前きみは姉さんがデストゥパーゴのとこへ行くかもしれないって云ったねえ。」 「うん、姉さんは行きたくないんだよ。だけど旦那が行けって云うんだ。」 「テーモがかい。」 「うん、旦那は山猫博士がこわいんだからねえ。」 「わたくしはこの前のことを思いだしながら、そっとたずねました。」の続きを読む
ふりかえってみると、わたくしの家がかなり小さく黄いろにひかっていました。 2014年10月29日(水) テーモ 「ポラーノの広場へ行けば何があるって云うの?」 ミーロについて行きながらわたくしはファゼーロにたずねました。 「オーケストラでもお酒でも何でもあるって。ぼくお酒なんか呑みたくはないけれど、みんなを連れて行きたいんだよ。」 「ふりかえってみると、わたくしの家がかなり小さく黄いろにひかっていました。」の続きを読む