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伏見桃山の城地を繞めぐっている淀川の水は、そのまま長流数里、浪華江なにわえの大坂城の石垣へも寄せていた。――で、ここら京都あたりの政治的なうごきは、微妙に大坂のほうへすぐ響き、また大坂方の一将一卒の言論も、おそろしく敏感に伏見の城へ聞えて来るらしい。

わたくしはいつかの小さなみだし

あの年のイーハトーヴォ
しずかにあの年のイーハトーヴォの五月から十月までを書きつけましょう。
遁げた山羊
五月のしまいの日曜でした。わたくしは賑(にぎ)やかな市の教会の鐘の音。
チョッキだけ着て山羊
もう日はよほど登って、まわりはみんなきらきらしていました。時計を見るとちょう。